パリから向かうフランス映画の港町 ジャック・ドゥミとヌーヴェル・ヴァーグの故郷を訪ねて ロシュフォールから、シェルブールまで

2010年11月15日

知り合いが本を出した。

パリから向かうフランス映画の港町 ジャック・ドゥミとヌーヴェル・ヴァーグの故郷を訪ねて ロシュフォールから、シェルブールまで
パリから向かうフランス映画の港町 ジャック・ドゥミとヌーヴェル・ヴァーグの故郷を訪ねて ロシュフォールから、シェルブールまで
  • 発売元: リヴル・アンシャンテ
  • レーベル: リヴル・アンシャンテ
  • スタジオ: リヴル・アンシャンテ
  • メーカー: リヴル・アンシャンテ
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2010/10/27
  • 売上ランキング: 35410

フランス映画のロケ地となった地域の旅行記。美しい風景とその解説。とても良い本。
これ、こういうのが好きな人には結構ウケるんじゃいない?と著者に聞いたところ、ニッチ過ぎるとのこと。もっと余裕のあった時代であれば許容できたのかも知れないけれど、今では商品としてはちょっと…らしい。
というのも、この本は大手流通を通さず、直接書店に営業をかけて置いてもらっているのだ。確実に入手するには、アマゾンなどネットで購入するか、書店で注文をするかとのこと。
これはその方法を戦略として取っているわけでは無く、結果的そうなったそうなんだけど、逆に今風だとも思える。
 
音楽で言えば初期のインディーズと同じような形態なんだけれど、読んで欲しい人に読んでもらう為に何をすべきか?ということを考え直すと言う意味で、これからのコンテンツ(という言い方はちょっと嫌な感じもするのだけど)販売に関係する状況の中では結構シンボリックな事象ではないかな?と思う。
 
いわゆる「中抜き」を実現することで中間業者へのコストが無くなり、より手を動かした人への利益還元がしやすいという考え方は基本的に間違っていない。
しかし、本当に中間業者が不要なのか?という検討はすべき事柄で、なんでもかんでも「中抜き」が良いという分けではない。中間業者が生まれた理由は何かしら存在するわけで、それが現況では不要なのであれば無くなるのは合理的ではあるのだけど、必ずそうなのか?の検討はあるべきということ。
 
本の流通で言えば、書店に広く置かれる事がなければ、目にとまる、手にとってもらうといった機会が減る。出版社や編集者の存在だって、本をより良くする、読んで欲しい人に読んでもらう為の活動の中で必要となってくる場面はあるわけで、それが今の仕組みのままで良いのか?どの部分をより良くすべきで、どこを無くしたって平気なのか?なんてことを考える機会は無いよりあった方がずっと良い。
 
今、電子出版などコンテンツのデジタル販売が広くはじまりつつある。時代は変わって行くわけで、それに無理にあらがう必要は無いのだけど、やはりより良くなるためのデジタル化なのであれば、その為に既存の仕組みを検討した上での進歩であって欲しいと思う。過去のしがらみを捨てたいだけであれば、それはちょっと切ない。
 
ということで、もし良かったらアマゾンから購入してみてください。書店に注文するというアナクロな方式もたまにはおつなものです。繰り返しますが、こういうのが好きな人にはとても良い本です。