クラウドの普及によって落ちないサービスが増えるか?

2011年5月5日

震災直後からネットは、お遊びなだけではない現実に即した情報やサービスが配信される傾向になったと思う。もちろんそこには誤りなんかもあるけれど、使われ方がより社会に密接に結びつくことが増えたと思う。

「思う」だけでなく、何かしらの数値なり例題なりを出して説明することで、より説得力のある文章になるのだろうけれど、あくまで肌感覚のメモということで以下も個人の感想と体験をベースにして書いていく。

震災によって情報発信ができない状況が発生

3月11日の夜には、自治体のサイトが落ちてしまうケースが発生していた。これは、アクセス過多によるもの、被災や停電によるもの、など色々なケースがあった。結果震災後、自治体からの情報をTwitterで配信するケースが増えた。

という利点がある。

自治体では、各部署がそれぞれに独自資料を公開したいという要望から、庁舎内のネットワーク上にWEBサーバを配置して公開する形式の所もある。情報を統括して公開する専門部署を作るよりも、導入はシンプルだ。
ただ、そうなると庁舎内に公開用のサーバルームを用意することになる。停電だけならUPSや自家発電で何とかなるとしても、それ以上の被害が出てしまった場合はアウトだ。回線が止まるということだってあり得る。

また、原発のトラブルや、計画停電の情報配信についてもアクセス過多で電力会社のサイトにつながらないという事象が発生した。単純なPDFの資料で、サーバ側でスクリプトやDBが動くという類のもので無いとしても、まったくつながらないタイミングがあった。

実数として、どのくらいのアクセスが集中していたのか、参考値としてかなり貴重なものとなると思うので、今後どこかのタイミングで公表してもらいたいものだと思う。
視聴率が1%でどのくらいの人間が見ているかという大雑把な計算をすることがある。電波は何人見ても落ちることは無いけれど、ネット上ではこういう構成で人口の何%がアクセスすると情報が行き渡らなくなるか?という情報は認識として共有したい。

落ちないサービスに情報を集める傾向

自治体の情報発信にTwitterが使われだしたという傾向は

という理由から、緊急避難的なケースも含めて選択されたものと考える。
同じ理由から情報収集をしにTwitterにアクセスしたユーザーも多く、結果的により多くのユーザーに情報を配信出来たのではないだろうか。

計画停電の情報についても、そもそも情報がPDFだったので、大手ブログサービスや、Googleドキュメントなどにダウンロードできたファイルを再度アップロードすることで情報の拡散が出来た。ただし、これは訂正情報が入った場合の対応に問題があり、計画停電発表直後は

という具合に情報が錯綜してしまった。
その後、電力会社もCDNなどの導入を実施したのか、改善されているようだ。実際のアクセス状況と共に、改善実績も公表してもらえるとありがたいと思う。

落ちないサービスから落ちるサイトへのリンク

比較的安定しているという前提のTwitterであるが、Twitter内の情報だけであれば問題はないのだが、ツイート内に高負荷に耐えないサイトへのリンクがあると大変だ。フォロワーが多いアカウントにツイートされたり、リツイートされまくったりすると一気にアクセスが増える。
自治体や電力会社のサイトも、それによって高負荷になったという場面があったと思う。
リンク先が、大手ブログやWEBサービスの場合には問題無いのだけど、そればっかりでは無いわけで、これは当面の大きな課題ではあると思う。

こういった検討は、これから頻繁にされていくのでは無いだろうか。
システム屋としては開発工数が発生した方が仕事としてはありがたいのだけど、とはいえ高負荷対応まで考えるとなると色々と手がかかり、コストも増える。お客さんもそこまでは考えていなかったり、費用を出せなかったりするだろう。
かといって、大手サービスを利用する前提で、そのメニュー内でやることを収めるよう進めると、殆ど作業が発生せず、コンサル料的なものがいただければ…といった仕事になってしまう。

保守的に仕事をやっていこうとは思わないけれど、なかなか難しいタイミングに来ているのかも知れない。

さらに落ちないサービスが落ちるケースが

Twitterなどが落ちないサービスであるという前提も、AWSが停止するといった事例がタイムリーにおきたことで悩ましい状況になっている。

何が安定か?という部分、落ちるまでは安定という禅問答のような話になってしまうと意味があまり無いのかも知れないが

といった部分を事前に明確にした上で、インフラやサーバや運用を検討するという作業を明確にしていく必要があるのだと考える。