‘書籍’ タグのついている投稿


電子書籍用ガジェットでは、指で横にクイッとすると、ご丁寧に紙のページがめくれるアニメーション付きでページ送りされたりして、正直なところ、萎える。
紙の機能を電子化するとしても、もっと他に必要な機能があるでしょうに、という気分。
でも、文句言っても始まらないので、現時点であったら嬉しいな、と思う機能をあげてみた。

ペラペラめくって目についたところを読みたい

雑誌なんかではよくやること。ペラペラめくる動作の再現はしなくても良いので、縮小したページを画面中に大量に並べたり、写真やイラストだけのインデックス表示をしたり、人名、地名、商品名などの固有名詞をタグクラウドのように見せてくれたら、拾い読みしやすいと思う。
紙はランダムアクセス出来ないのだから、その部分でアドバンテージを見せられる機能なんじゃないかと思う。

読んでいるページを把握したい

今読んでいるところがどの辺か、前に読んだ時はどの辺だったか、紙の場合には、厚みなど感覚的な部分で記憶していることがある。全体のうちのどの辺かを表示するようにしたり、読み始め、読み終わりのページを履歴で記憶しておいてくれると助かる。

スクラップができるようにしたい

マニュアルなどの場合には、必要になる部分は全体のうちの一部だけのことが多い。複数ある資料で、必要なページだけ抜き出してスクラップすることはよくやっている。そういった感じで必要な部分をスクラップ出来ると便利。紙ではページ単位になったりするが、電子書籍であればTumblr
のように画像やテキストの一部だけの引用を、元資料へのリンクとともにまとめることが出来る。

思いついたこと3つあげてみた。すでに実装してある機能もあるかも知れない。電子書籍といっても主に雑誌や資料が主な想定で、文芸関係だとまた違って来るとは思う。紙では出来ない機能で便利に使えるようになれば、それはそれで良いわけなので、新しい機能を持ったガジェットが登場するのは楽しみだ。


知り合いが本を出した。

パリから向かうフランス映画の港町 ジャック・ドゥミとヌーヴェル・ヴァーグの故郷を訪ねて ロシュフォールから、シェルブールまで
パリから向かうフランス映画の港町 ジャック・ドゥミとヌーヴェル・ヴァーグの故郷を訪ねて ロシュフォールから、シェルブールまで
  • 発売元: リヴル・アンシャンテ
  • レーベル: リヴル・アンシャンテ
  • スタジオ: リヴル・アンシャンテ
  • メーカー: リヴル・アンシャンテ
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2010/10/27
  • 売上ランキング: 35410

フランス映画のロケ地となった地域の旅行記。美しい風景とその解説。とても良い本。
これ、こういうのが好きな人には結構ウケるんじゃいない?と著者に聞いたところ、ニッチ過ぎるとのこと。もっと余裕のあった時代であれば許容できたのかも知れないけれど、今では商品としてはちょっと…らしい。
というのも、この本は大手流通を通さず、直接書店に営業をかけて置いてもらっているのだ。確実に入手するには、アマゾンなどネットで購入するか、書店で注文をするかとのこと。
これはその方法を戦略として取っているわけでは無く、結果的そうなったそうなんだけど、逆に今風だとも思える。
 
音楽で言えば初期のインディーズと同じような形態なんだけれど、読んで欲しい人に読んでもらう為に何をすべきか?ということを考え直すと言う意味で、これからのコンテンツ(という言い方はちょっと嫌な感じもするのだけど)販売に関係する状況の中では結構シンボリックな事象ではないかな?と思う。
 
いわゆる「中抜き」を実現することで中間業者へのコストが無くなり、より手を動かした人への利益還元がしやすいという考え方は基本的に間違っていない。
しかし、本当に中間業者が不要なのか?という検討はすべき事柄で、なんでもかんでも「中抜き」が良いという分けではない。中間業者が生まれた理由は何かしら存在するわけで、それが現況では不要なのであれば無くなるのは合理的ではあるのだけど、必ずそうなのか?の検討はあるべきということ。
 
本の流通で言えば、書店に広く置かれる事がなければ、目にとまる、手にとってもらうといった機会が減る。出版社や編集者の存在だって、本をより良くする、読んで欲しい人に読んでもらう為の活動の中で必要となってくる場面はあるわけで、それが今の仕組みのままで良いのか?どの部分をより良くすべきで、どこを無くしたって平気なのか?なんてことを考える機会は無いよりあった方がずっと良い。
 
今、電子出版などコンテンツのデジタル販売が広くはじまりつつある。時代は変わって行くわけで、それに無理にあらがう必要は無いのだけど、やはりより良くなるためのデジタル化なのであれば、その為に既存の仕組みを検討した上での進歩であって欲しいと思う。過去のしがらみを捨てたいだけであれば、それはちょっと切ない。
 
ということで、もし良かったらアマゾンから購入してみてください。書店に注文するというアナクロな方式もたまにはおつなものです。繰り返しますが、こういうのが好きな人にはとても良い本です。